某お茶メーカーのペットボトルに俳句が書いてあったり、生命保険会社がサラリーマン川柳を募集していたり、身近で5・7・5の短詩を目にすることは良くありますよね。
百人一首はもう少し長い短歌ですが、子どもの時から覚えているものがある人もいるのではないでしょうか。
俳句 川柳 和歌 短歌…自分でも作ってみたいと思うけれど、作りやすいのはどれなんだろう?
そもそも、それぞれの違いはなんだろう?
今回はそんなお悩みを解決するために、俳句と川柳、和歌と短歌の違いを、わかりやすくご紹介したいと思います♪
和歌とは
和歌(わか)は、中国の漢詩に対する日本のうたになります。「やまとうた」と呼ぶこともありました。
5音と7音を使う定型詩で、その和歌の中の1ジャンルとして、短歌、長歌、旋頭歌(せどうか)、仏足石歌(ぶっそくせきか)などがあります。
現代では短歌以外はすたれ、和歌と言えば短歌を指すようになっています。
と、いうことで、短歌は和歌の中の1種と言えますが、現代では短歌=和歌と言っても問題ありません^^
俳句とは
俳句(はいく)は、5音・7音・5音という、たった17音で、そこにある景色も作り手の心象風景も表してしまう、世界一短い詩です。
感動したことを短くまとめ、そこに季語を加えることによって、作り手と読み手の心をシンクロしやすくするというテクニックを使います。
この俳句の作者・高浜虚子(たかはま きょし)が言いたいのは、「夫婦互に 無き如く」という部分です。
でもこれだけでは、読み手がしみじみ…とはなりません。ところが「秋灯や」の季語が入ることによって、日が短くなる頃の心細いような、そこにあまり明るくはないけれど灯があることでちょっと安心するような、そういった情景が伝わってきます。
そして、夫婦の存在に重なり合い、読み手の心に落ち着いていくという効果をもたらすのです^^
季語は、その言葉を読むだけで、読み手の心の中にある風景を呼び起こします。
それは俳句の内容を理解する助けになるので、季語がどれだけ俳句にとって重要なものかが分かりますね。
川柳とは
川柳(せんりゅう)は、5音・7音・5音の17音で俳句と同じです。
一見しての違いは季語がない事ですが、最近は「無季」といって季語のない俳句を作る人もいるので、決定的な違いとは言えません。
川柳に絶対必要なものは、機知、皮肉などの理知的なとらえ方です。
俳句や短歌が情念の世界の中で作られるのに対して、川柳や狂歌(短歌形式のもの)は知的な遊びの世界にあります。
この川柳には、最近の中高年の登山ブームに対して、楽しそうだという肯定的な見方と、時々聞く遭難事件に対して、若い時と同じようにはいかないという批判的な見方が、バランスよく入っているんですね~。
バランスを考えた川柳は、絶対賛成とか絶対反対のような感情ののめり込みからは生まれません。
対象をいったん客観的に見るという、知的作業が欠かせないと言えますね。
これは「帰宅して うがい手洗い」というインフルエンザ予防の標語、そして同じ「い」で終わる「皿洗い」を重ねることで、疲れて帰ったのに家事をやらなければならないという不満をスルリと軽いものにしていますね^^
日常生活のやるせなさが伝わってきて、多くの人が共感できる川柳です。
短歌とは
短歌(たんか)は俳句や川柳よりも少し長い詩です。5音・7音・5音・7音・7音の31音で作ります。
短歌のことを三十一文字(みそひともじ)というのも、この31音から来ています。
長いのに短歌というのはどうして?と思う人もいるかもしれませんね。
昔は長歌というものがあり、5・7・5・7・5・7・・・とか、7・5・7・5・7・・・と続き、そして一番最後に独立して短歌を〆として付け加え、その〆が独り歩きしたのが現在の形なのです。
31音なので、季語がなくてもある程度説明できるため、心象風景を表現するにはなかなか便利なものです。
これは斎藤茂吉(さいとう もきち)が危篤の母親のもとに駆け付ける際に作った短歌ですが、季節にはふれていません。
けれども母親を思う茂吉の心情は、「ひと目見ん」を繰り返すことで痛いほど伝わってきますね。
もちろん季節を言ってもいいし、歳時記から言葉を見つけて使ってもかまいません。
俳人としての方が有名な正岡子規(まさおか しき)は、このような短歌を作っています。
これは「ばらの芽」「春雨」と季語を2つ使っていますが、短歌では問題にはなりません^^
初心者が作りやすいのはどれ?
短いので、初心者がまとめやすいのは俳句、川柳です。(短いからこそ難しいというのもありますが(^_^;)
俳句と川柳では、ご自身の性格や好みにより、作りやすさが変わるでしょう。
例えば、自然や季節の移り変わりなどに風情を感じやすい方は、季語をとりいれた俳句が作りやすいでしょうし、人を笑わすのが好きだったり、ちょっとしたブラックユーモアが得意だったりする方は、面白い川柳が作れそうです。
ですので、最初はとりあえず思いついた言葉で作ってみてください^^
その後、上達するには17音で心情をうまく表現するために、言葉の研ぎ澄ましが必要ですし、川柳であれば対象を客観視する姿勢なども必要ですね。
短歌は、俳句で言葉を並べるのにある程度慣れてくると、もっと長く表現したくなる時があります。そんな時は、14音多く説明できる分、表現度が上がるので短歌を作ってみると良いですね(*^^*)
子規だけでなく、俳句と短歌を両方作る人も多いので、扱う対象によって使い分けると良いと思います。叙景なら俳句、心情なら短歌が作り始めは簡単に感じやすいですよ~。
さいごに
俳句と川柳、和歌と短歌の違いをご紹介しましたが、いかがでしたか?
それぞれの違いが分かると、自分に向いていそうなもの、作りたいものが見えてきますね^^
俳句、川柳、和歌、短歌、どれを作るのかが決まったら、さっそく挑戦してみて下さい。
そして素敵な句やうたを作って、充実した時間を過ごしてくださいね♪